当事務所のビジネス契約書の検討方針について

2020年6月16日 代表弁護士 吉田良夫

~ビジネス契約書にはどのように対応すべきか~

現代社会は契約と密接不可分の関係にあります。
特に現在の「With コロナ」、「アフター・コロナ」においては、既存の契約内容を遵守できず変更の必要が生じる場合や、全く新しいビジネスの合意が必要になる場合が増加するはずです。
また、「コロナ第2波」に備えるため、「債務不履行の免責または軽減条項」、「不可抗力条項の充実」の検討も必要になるかもしれません。

そもそも契約書の「契約」の部分は「交渉を前提とする合意形成」を意味し、契約書の「書」の部分はその「合意」を書面にする作業という意味を有しています。
そのため、当事務所では、当事者間のパワーバランスに注意して契約書の検討作業を行います。
もし相手パワーが強大な場合は相手に対し契約条項の変更を求めても変更は困難です。
その場合は契約書にどのようなリスクがあるかを具体的に予想することで、Clientのリスク回避に貢献する方が、Clientの役に立つ契約書チェックといえるはずです。

また、契約書が日本語で書かれていても、標準日本語と思い込まないでください。
契約書の条項中に、特殊な意味の業界用語が含まれているかもしれません。
業界用語の中には、省略形の単語でありながら経済的(ビジネス的)に大きな意味を持つ用語もありますので、注意が必要です。

さらに、契約書は安易な気持ちで流し読みをしないでください。流し読みは危険です。
契約書の文言は、一語、一節、一文を細部まで気を抜かずに検討し、その積み重ね作業により「相手の真意は何だろう? 落とし穴はないか?相手の戦略・戦術は何だろうか?」といったことまで考えながら読み込む姿勢が大事です。

次は、星野光子弁護士が、シンプルな契約類型を前提に「ビジネス契約書のチェックポイント」の一例をご披露いたしますので、ご覧ください。

 

 

ビジネス契約書のチェックポイント

2020年6月16日 弁護士 星野 光子

はじめに

アフター・コロナ(A・C)においては、今まで以上に契約書の重要性が高まると考えられます。今回、予想しなかった事態が生じたことで、リスク管理の観点から契約書の見直しが必要になったり、アフター・コロナを見据えた新しいビジネスモデルの検討が増えると考えられるからです。

弊所では、平時から、多岐にわたる分野の契約書チェック・作成を多く取り扱って参りました。

そこで、弊所における契約書チェックの例をご覧頂ければと思います。

 

契約書チェックのご依頼を受ける際にお伺いすること

弊所では、初めて契約書チェックのご依頼を受ける際、ご依頼者様と相手方の業種、業界、資本金、売上高、従業員数、これまでの取引状況等をお伺いすることがあります。業界慣行、取引慣行、ご依頼者様と相手方とのパワーバランス、ご依頼者様と相手方との信頼度等を知るためです。

民法92条は「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。」、商法1条2項は「商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法(明治二十九年法律第八十九号)の定めるところによる。」と定めています。業界慣行、取引慣行を知ることは、契約書解釈に必須です。

また、契約書の交渉においては、パワーバランスを考慮せざるを得ません。ご依頼者様のお話を伺い、相手方とのパワーバランスから、相手方が出してきた原案をどの程度まで当方有利に修正するか検討します。

さらに、ご依頼者様と相手方とのこれまでの取引状況から、ご依頼者様と相手方との信頼度をはかり、どの程度、契約書を詳細にするかを検討します。

 

契約書交渉に関するアドバイス

契約書チェックはリスク管理のために行いますが、当方有利な修正案に相手方が応じない場合は、相手方とのパワーバランスを考慮し、ビジネスの推進を優先させるか今回の契約は断念するかを決めなければなりません。最終的な決断は、ご依頼者様の経営判断となります。

弊所では、交渉時の具体的な対応の方法もご提案させて頂きます。

(一例)

  • 譲れないポイントと譲ってもよいポイントを分ける。
  • 修正の要望を多く出し、譲歩幅をもつ。
  • 契約締結を急がない。

 

以下、契約類型毎に、原案に変更履歴を付した修正案をお出しします。ぜひご覧ください。

 
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