[第21号] 村田諒太敗戦について

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吉田良夫メールマガジン [第21号]
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今月のメルマガ              2017年6月
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◆村田諒太敗戦について
~敗戦後の大騒動が意味すること~
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皆様

東京も梅雨入りになりました。
季節の変わり目でむしむしするなかで、肌寒い日もあれば
真夏日もあります。
このような時期は体が外的環境の変化に即応できずに体調を
崩しやすくなります。
皆様もどうかご自愛をされてください。

ところで、今日はボクシングのお話をさせてください。

私もWOWWOWのエキサイトマッチ(毎週月曜夜2時間枠番組)を
録画で見ているボクシングの1ファンです。
年間110時間ほど世界戦を中心にボクシング観戦をしています。

さて、私の今日のテーマは、5月20日に行われた村田諒太氏(以下、
村田氏と記載いたします)とアッサン・エンダムとの
世界ミドル級タイトルマッチについてです。

結果はご存じのように3人のジャッジのうち1人だけが村田勝利、
他の2人のジャッジはエンダムの勝ちと判定し、1対2のスプリット
デシジョンで負けました。
3人のジャッジの判定は、117-110、111-116、112-115 でした。

しかし、試合内容は文句なく村田優勢であったため、
観客・テレビ視聴者・日本ボクシング関係者は非常に残念に思い、
かつ、大批判となりました。

ですが、過去においても、明らかな不当判定は何回か存在した、
と思います。
その一例が、2012年6月9日のラスベガスで行われた、
マニー・パッキャオとティモシー・ブラッドリーの第1戦です
(この両者は3回対戦しています)。

試合は判定になりパッキャオ勝利と思われたのですが、
結果は3人の審判が1対2に分かれパッキャオが負けました。

ちなみに、このパッキャオとブラッドリーの第1戦の判定は
両陣営から中立な立場が、「ボクシング史上最悪な判定の一つ」と
ひどく批判を行いました。
それだけでなく、WBOは試合後直後の2012年6月13日、判定について
精査を行うと宣言し、別ジャッジ5人がビデオ検証を行い、
5人全員がパッキャオの勝ちだったと意見を述べました。
しかし、それでも勝ち負けの結果を変えることはできませんでした。

その後どうなったというと、両者は2014年4月12日に再戦し、
パッキャオ判定勝ち。さらに2016年4月9日にも3度目の対戦をして
パッキャオの判定勝ち、となっています。

ちなみに、「ボクシング史上最悪な判定の一つ」といわれた
第1戦でもジャッジは何も処分を受けていません
(というのが私の理解ですが、もし間違えていたらご指摘ください)。

また、パッキャオは第1戦敗戦でも全く評価に傷がつきませんでした。

そこで、村田氏の今回の試合後の動きを確認しましょう。
私からすると、「非常に興味深い現象」がおきました。
ここから数行はWikipediaの村田諒太氏の欄からの引用です。

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試合後、WBA会長はエンダムと村田を再戦させる意向を
示すと共に「私のスコアは117-110で村田の勝利。

まずは村田諒太、帝拳プロモーション、そしてすべての
日本のファンに謝らなければならない。
このひどい判定によるダメージを修復する言葉はない」と
自身のソーシャルメディアにコメントを載せ、
この試合の判定に言及した異例の声明を発表した。

中略

2017年5月25日、WBAはエンダム支持の採点をした
グスタボ・バティージャ氏とヒューバート・アール氏を
6ヵ月間の資格停止処分とし、上述のエンダムと
村田の間で行われたWBA世界ミドル級王座決定戦の採点に
問題があったとしてエンダムと村田に対し再戦するよう
指令を出した。

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世界に4つあるボクシング団体の会長が謝罪する、
ジャッジを6ヵ月間とはいえ資格停止処分にする、
といった事態はまさに前代未聞の出来事です。
パッキャオのときですら、このようなことは
おきませんでした。

そこで、なぜここまでの動きになったのでしょうか。
証拠のない私の仮説を申し上げます。


村田氏は日本の帝拳ボクシングジム所属だが、マッチメイクに
ついてはボブ・アラムの率いるトップランク社とも契約している。
ボブ・アラムはマッチメイクの世界で非常な実力者と言われている。
ボブ・アラムが村田亮太の判定に激怒し動いた。

ちなみに、ボブ・アラムはパッキャオのプロモーターでも
ありました。
パッキャオの時には激怒しただけで動かず、村田氏の時に
動いたのは、
「自分が契約したボクサーに対し2度も『これ』をやるのは許せん」
ということをわからせる戦略的意味もあったのではないかと
考えている次第です。
(以上は証拠とか根拠は全くない、私の空想的仮説に
すぎないことを再度申し上げます)

長くなりました。

記録上の1敗は残念ではあります。
しかし、敗戦後にこのような前代未聞の騒動がおきるということは、
まさに、

「世界のプロボクシング界が村田諒太の価値を認めた」

ということです。

試合前は
「オリンピックで金メダルを取った、数ある世界ランカーのうちの1人」
でした。
現在は、
「世界の注目を集める『事実上の』世界ミドル級チャンピオン」
です。

物事は受け止め方であり、考え方です。

不幸になりそうな出来事でも不幸にしないことです。
不幸になりそうな出来事をきっかけにして(つまりチャンスにして)、
全世界の注目を集める世界チャンピオンになるのです。

今回の記録上の1敗はそのための「プロローグ」なのです。

私にはそのように思えてなりません。
ボクシングがますます面白くなりました。

これからも皆様とのご縁を大切にし、読んでいただけるメルマガに
していきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

お読みいただきありがとうございました。

 

吉田 良夫

[第12号] オリンピックの感動

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吉田良夫メールマガジン [第12号]
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今月のメルマガ              2016年8月
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オリンピックの感動

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皆様

今年はオリンピック・パラリンピック・イヤーです。

リオは日本と時差12時間ですが、興味のある種目については夜遅く(朝方)
まで楽しんだ方も少なからずいらっしゃったのではないかと思います。

今回のオリンピックについては、低予算、強盗被害(治安問題)、ジオ熱
といった問題が指摘されておりましたが、それでも、アスリートは
全身全霊を込めて必死になって競技に集中し、全世界に感動のドラマを
見せてくれました。

ところで、この原稿はまだ開催中に作成しておりますので、
各国の最終的なメダル獲得数はわかりませんが、日本は順調にメダルを
獲得しているようです。

もしかしたら、ブラジルには日系人が多数暮らしていて、日本に対し
好意的な雰囲気があって、それで会場内で日本人選手が力を発揮しやすく
なったのかもしれません。

また、ブラジルでは柔道から推移した柔術が独自の発達を遂げて(例えば
グレイシー柔術)、武道精神に深い理解を示す人が多くいるようです。
そういう文化的土壌が無意識的に日本人に対し友好的な応接をして
くれたのではないかというのが私の見方です。

これが反日感情の強い開催地だと、会場で日本人選手に対しあからさまな
敵対心を示すでしょうし、出場選手はそのことをわかっていても(覚悟
していても)、やはり余分なプレッシャーがかかってしまいますから、
どうしても不利になります。
今回はそのようなネガティブ要因がなかったのではないかという気がしております。

また、出場選手について、初出場の選手より2回目、3回目の選手の方が
本来の自力を発揮しやすいという話しを聞いたことがあります。
「場慣れ」ですね。

もちろん、初出場で大活躍のアスリートも多く出ており、「場慣れ」だけでは
ないということはわかっております。

ですが、激しい国内予選をくぐり抜け、1度ならず2度、3度とオリンピックに
出てくるアスリートはやはり「すごい!」。

そして、1度目のオリンピックでわかった自分の改善点を克服し、2度目、3度目の
オリンピックでより成長した自分を見せる、そのことがより高い順位につながり、
メダルにつながるのではないかと思いました。

でも、そんなことはどうでもいい。
純粋に鍛えに鍛えたアスリートの本当に全身全霊を込めた競技に、
ただただ無心に感動し、「すばらしい」と思えるだけでも、幸せです。

そして、4年後は東京でオリンピックです。

今から、本当に楽しみです。

今回もお読みいただきありがとうございました。
今後、皆様が私に書いてほしいと思うことがあれば是非返信戴ければ幸いです。
今後とも努力いたしますので、次回もどうかよろしくお願いいたします。

 

吉田 良夫