A・C(アフター・コロナ)時代のWEB会議の活用法

2020年7月15日 弁護士 吉田良夫

はじめに

現在、ビジネスを取り巻く環境が大きく変化し、ICT活用による仕事の効率化が求められています。
また、2020年の新型コロナウィルス感染症問題により、場所を問わずに仕事ができるテレワーク(リモートワーク)の必然性が急速に高まっています。

当事務所では、新型コロナウィルス感染症の感染拡大が取り沙汰されるよりも前に、遠方のお客様や体の不自由なお客様などがお困りの際に、いつでも安心してご相談いただけるような環境を整えておく必要があると思い、いち早くWEB会議システムを導入しておりました。

現在では、Microsoft Teams、Zoom、Skypeという3つのツールを駆使し、このシステムに所員全員が慣れるためにも毎日活用しています。その中で気が付いたこと、大切なポイントなどについて「A・C(アフター・コロナ)時代のWEB会議の活用法」として以下にまとめました。
この情報が、皆様の新しい生活様式の一つとしてお役にたてれば幸いです。

 

1.WEB会議システム導入の必要性について

実際のところ、これは私の長い弁護士活動において初めてのテーマです。
ただ、多くの人にとっても、やはりまだ馴染みのない、しかし覚えなくてはいけないテーマです。

テレワーク体制において、所員全員が「毎日顔を合わせて会議をする」ということはとても重要なことです。
メールや電話で繋がっていても、顔を合わせないコミュニケーションだけでは気持ちの伝達が難しく、伝わらないこともあります。
また、業務上においても所員同士が「今何をやっているか」「どこまで進んでいるか」などという状況の把握がお互いにできにくくなります。
そのため「テレワーク」という業務が始まってから、当事務所では毎日WEB会議を行うようにしています。毎日行うことで、システムに関する疑問点や改善点、注意点など、それなりに気がつくことがあります。

もしかすると中には、何らかの理由によりWEB会議システムを導入することができない、または不安があるという人もいるかもしれません。
しかし、急速に進むIT化の波に乗れずWEB会議システムを導入しなければ、進化の法則での「競争」、いわゆる変化についていけず、ビジネスの世界から消えてしまうスピードが速くなる可能性があります。

環境の変化に対応できたものが生き残る。
常に「強い者が勝つ」のではなく「勝ったものが強い」のです。

勝ち負けという風に言いかえることは、少し刺激的すぎるかもしれません。
しかし、やはり企業や組織、そして人間は、長く存続できた方がいいわけです。
まずは生き残る(生存の法則)。
その次にプラスアルファの部分を考えれば良いのです。
プラスアルファの部分とは、「業績を上げる」、「知名度が上がる」、「信用される」、「良い生活ができる」、「満足感がある」等です。
このプラスアルファの前に「生存」を考えなくてはいけません。
「生存」つまり生き残るために、WEB会議システムの導入は必要不可欠なのです。

 

2.WEB会議の活用術

どうせ使わなくてはいけないならWEB会議のメリットや活用の際のポイントを十分知った上で使いこなしましょう。
WEB会議をするためには、まずツール(道具)を上手に使うことが大切です。
戦いにおいても、古今東西「武器調達」が必要です。
しかし武器を調達するだけで勝てるわけではなく、その使用法が大事なのです。

皆様は、「戦略」・「戦術」・「戦法」、それぞれに局面が違うことをご存じでしょうか。
目の前の相手に対し「今どうやったら相手を倒せるか、勝てるか」というのは、「戦法」に該当します。
物事を大きく決めるのが「戦略」です。
「戦略」があり、次に「戦術」が決まり、「戦法」を立てる。
このwithコロナ、afterコロナの状況下において、WEB会議は「戦略」ということになります。

WEB会議も直接面談も、人間がコミュニケーションを行うためのツールです。
メールやチャットなど、デジタルで大量に情報交換することもコミュニケーションの一つです。
どのコミュニケーションツールも、いかにして相手の心に訴えるか、相手の心に「好感」や「感動」を与えるか、ビジネス的には「説得力」を与えるか、解ってもらうか、という点で共通しています。

<WEB会議のメリット>
ある方が、WEB会議におけるメリットを次のように挙げられていました。
・移動時間なく会議ができる
・自分のデスク、自分の城で落ち着いて会議ができ、自分の手持ち資料も容易に見ることができる
・迫力のある人との会議では、WEB会議の方が、相手の迫力が薄れて話がしやすい
・WEB会議の方が相手の顔をしっかり見ることができる

<WEB会議における第一印象の重要性>
第一印象は、深層心理にかなり影響があります。
「メラビアンの法則」では、目から得た情報が55%、耳から得た情報が38%、言葉から得た情報が7%であり、これらの情報に基づいて人の印象が決まるとされています。
つまり、その人のイメージが決まる第一印象は、見た目の情報で半分以上が決まるということになります。それにプラスして、優しく丁寧に惚れ惚れとする声でしゃべられると、大抵の人は「落ちる」、そういうものです。
見た目のイメージの重要性、「人は見た目が大事」の原則です。

WEB会議においては、それ専用のお化粧をする、またはそれ専用のお化粧の仕方に変えるという人もいるようです。
テレビでもテレビ映り用のお化粧、身支度をして撮影にのぞむのと同様、WEB会議もテレビ類似ですから、自分の顔の表情についての何らかの手当ということは、より比重が高まります。
これを「する」「しない」は人の判断ですが、「人は見た目が大事」という観点からその余地はありそうです。現時点でも、これをされている方は結構多いということです。

<WEB会議で最も重要な「話し方」>
WEB会議の中で、一番大事なことは「話し方」です。
そのために必要なツールとして、高機能のイヤホンマイクを用意すると良いでしょう。
周囲の雑音が入らないため相手が何を話しているかしっかり聞こえ、また自分の話していることもしっかりとクリアに相手に伝えることができます。
一番大事な作法は、お互いにイヤホンマイクを使い合うことです。
パソコンのマイク、それからカメラの音声ツールだけでは、周囲の雑音を拾うため本当に聞きたい音声が聞こえにくくなります。
実はこれは携帯電話で重要ミーティングをする際にも、ビジネスの確立されたテクニックであるといえます。
携帯電話でビジネスミーティングをする時はイヤホンマイクをつけ、雑音をなるべく少なくするように最大限努力し、新幹線の移動中に大事な会議はしないことです。

次に、話し方のポイントです。
ゆっくり喋る、はっきり発音する、ただし怒鳴らない、大声とは異なる、語尾をはっきり発音する。
これらを意識するとしないでは大違いです。特に日本語の特性で、終わり末尾で Yes・No が決まります。また、語尾をはっきり言うことで迫力が出ます。

次に語尾上げ、語尾下げ。
私は、語尾下げは「運が落ちる」語尾上げは「運が上がる」と思い込んでいます。
語尾を上げると、私の感覚ですが、消極感覚を相手に与えない。
語尾下げより語尾上げの方が聞きやすい。
カラ元気でいいので、元気を出して「自信あり」と自分を思い込ませると、結構元気になります。
誰が見たって、「自信なさそうな口調」vs「自信満々の口調」、どちらを採用するか、結論は明白です。

<有効なWEB会議の進め方>
WEB会議は長引く傾向があります。スタート時間になっても、「誰々が入ってこない」とか「設定に手間取る」とか10分遅れでスタートするのはザラにあります。
また、エンドの時間を決めておかないと長引く傾向にあります。
エンド時間を決め、スタートが遅れたら、予定エンド時間に開始遅れ時間の分をプラスするだけ。
「ここで今日は終わり」と決めておくことがWEB会議のコツの一つです。
また、会議進行の進行表・シナリオを事前に用意することも重要です。
これは「戦略」の次の「戦術」に該当し、「戦法」は前述いたしました、話し方のポイント(ゆっくり喋る、はっきり発音する、語尾上げ)などです。
つまり直接面談よりもWEB会議では、自分の中のシナリオの準備がどれだけできているかが重要です。

 

3、WEB会議ツール(ソフト)について

当事務所で使用しているweb会議ツールは以下の3つです。

・Skype 無料で汎用性あり
・Microsoft Teams(有償版)
・Zoom(無償版)(有償版)

Zoomについては、少し前までは脆弱性が指摘され、使用にリスクが伴うという評価もありましたが、現在の最新バージョンではその問題は解消され、かなり多くの企業や組織でZoomが利用されています。
以前のリスク評価の真の理由として、無償版についてのチャイニーズリスク、回線が中国経由という点にあったようですが、やはり便利ということと、最新バージョンはかなりセキュリティーが強く、他のソフトと比較しても劣らないという評価です。
また、Zoom無料版の特徴として、3名以上の会議では利用時間が40分間に限られているというところです。
しかし40分経ったらティーブレイク、10分後に再び会議というスタイルで、会議の集中力が保たれ、敢えてこの会議方式をとるチーム、会社もあります。
2時間のダラダラ会議はさせないという意味のところもあり、それもありだな、と思います。

Microsoft TeamsとZoom、いずれも有償版では、パソコンと携帯とでは機能や見え方が異なることがあります。携帯でもかなり使えますが、パソコンからの方が録音・録画ができるなど利便性が高く、機能も充実しているように思います。
いずれも今後さらなるバージョンアップが期待され、さらに使いやすくなることが予想されます。

Skypeは現在のところ有償版を前提とせず、Microsoftが有償のTeamsに誘導しているところもあり、通常の身近な者との使用であれば、かなり使用感が良いです。
有償版ですと、全て録音・録画ができ、お互い参加者に対して許可をすることで、言った、言わない、の問題を解消できます。また、会議の議事録を作る手間も省けます。

 

4、WEB会議を行う上での注意点等

<WEB会議でのハラスメント注意点>
WEB会議において、「〇〇さんすみません、顔ちょっと見せてください。ちょっと笑ってみて。ところで、その着ている服いいね、どこの服?」などの発言は、セクハラです。
しかも録画されていると、ひどいことになります。
まず何より、とても格好が悪い。
WEB会議でのハラスメント、私も含めて全員気を付けなければいけません。

<WEB会議での「光」の使い方>
最後に、WEB会議での見せ方、光、照明のライティングの使い方です。
WEB会議において、画像が暗い、顔が見えない、といった状況ですと、元気がない、怪しい、何か悪いことを企んでいるのか、といったイメージになりやすいです。
ですので、いわゆる橙色の明かりで、そして血色が良くなる形でライトの効果を考えましょう。
大きな細かい技術や、専門家のライティングは不要で、少し見栄えを良くする、相手に暗い画像を見せない、それをするだけで、相当イメージが良くなります。

既に申し上げている通り、当事務所では毎日WEB会議システムを使用した所内会議を行っています。お客様との会議も、このWEB会議システムを使用する機会がだいぶ増えてきました。
回数を重ねれば段々うまく使いこなせるようになるものです。
素人の私が、ゼロから始めた者が、こういう風なことに気を付けながら、今、仕事をしています。
ほんの少しでも、お読みになった皆様のお役に立てれば嬉しい限りです。

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