[第7号] ホウレンソウの効用と注意点

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吉田良夫メールマガジン [第7号]
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今月のメルマガ              2016年3月
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●ホウレンソウの効用と注意点

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こんにちは。
メルマガ第7号です。

2月中旬頃には第7号を出すつもりだったのですが、いつのまにか
3月に入ってしまいました。
もう公園では桜が咲き始めています。
皆様のご近所でも、早咲きの桜がほんのりと木々に桜色の彩りを
添え始めているものと思います。

今月は、私がセミナー講義をする際によくお話しする
「ホウレンソウ」についてです。

セミナー前は「ホウレンソウ」なんてコンサルタントの講義で
聞き飽きているよという雰囲気もあるのですが、講義後のアンケートで
好評をいただくことが多いので、今回はこれを題材にすることにしました。

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●ホウレンソウの効用と注意点
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ホウレンソウ、つまり、報告・連絡・相談は仕事の際によく言われますね。

これは、①組織内での上司と部下の間のコミュニケーションの場合と、
②別組織に所属する者同士ではあるが、一定の目的のために協力して
仕事をする間柄のコミュニケーションの場合があります。

クライアントと弁護士は典型的な後者の関係ですね。

そして現在の我々はコミュニケーションのときにはよくメールを使います。
ビジネスでコミュニケーションの際にメールを全く使わないというのは
「まれ(ほとんどない)」です。

ですからホウレンソウはメールとセットになっています。

では、面談の際の情報量と、電話の際の情報量と、メールの情報量は
どうなっているでしょうか。

私はイメージを明確にしてもらうために、

面談の際の情報量を10だとすると、電話はお互いに事前に何時に
何を話し合うという約束をしたうえでの会話であっても最大で
5以内で、メールはせいぜい1程度だと説明しています。

また、電話は事前の約束なしで相手と話をするときは、関係の良好な
者同士であっても、話が「つたわりにくい」ということがありがちです。
そのうえ、携帯電話で音声の音質が悪いという場合では、なおさら、
情報量が少なくなります。

ましてやメールは、面談や電話に比べて情報量の少なさは歴然としています。

相手がきちんと読んだのか、読んでしっかりと理解したのか、
メールの内容について質問や疑問があるかどうか、といった面談や
電話だと直ぐにわかることがわかりません。

ですから、メールだけでホウレンソウをすると、非常に少ない情報量で
コミュニケーションを完結することになり、本来の目的(仕事)が
失敗してしまうとか、トラブルを誘発するリスクが高くなります。

私は、その原因の一つとして、「メールだけで指示をすると、指示を
受ける側は指示をした者の指示内容(やってほしいこと)を誤解しやすく
なる」ということがあると思っています。

せめてメールの前か後で、電話か、立ち話程度でもいいから口頭で
説明をしてくれれば(私は「立ち話ミーティング」の意味で
「立ち話MT」と名付けています)、何をすればいいかがわかるはずです。

しかし、それすらないことが実際は多いので、やっぱり誤解が生じやすいのです。

これを別の言葉でいうと

①実際は上司が指示しても、部下は「実際は理解できていなかった」。
しかし、両者はそのギャップを認識していなかった。

ということです。

同じことは、上司が部下から報告を受ける際の、報告内容の確認の
ときにも当てはまります。

②部下から報告があがった。
しかし、上司が適切に質問し確認すれば部下は「適切な報告を
することが可能だった」が、上司が確認しなかったので部下は
不適切な報告をしたことに気がつかなかった。

例えば、

部下から報告のメールが来ます。

上司は「そのメールをしっかり読んで確認する」といいたいところですが、
上司も忙しいので、「よし、メールと添付ファイルはきちんと届いたな。
これでこの話は前に進めることができる。」ということで、内容の吟味が
不十分になるときがあります。

また、部下は上司に報告する際には、自分の持っている情報のほんの
少ししか提示していません。ですから内線電話(社内携帯)や立ち話MTで
メール内容の検証をするという確認態度は有益です。

人間はどうしても、検査する人への納品はきちんと行いますが、検査すら
しない人への納品は忙しいときは、品質を不十分にして体裁だけ整えて…
ということにもなりかねません。

部下からすると、自分の努力をしっかりと見てくれる人と、そうではなくて、
自分の努力をきちんと見てくれない人とでは、どうしても熱の入り方が
違ってきます。

したがって上司は上司の責務として、部下からもらった報告にはちゃんと
接する必要があります。
ですが、そうは言っても、上司も忙しいですね。

そこで、せめて内線電話(社内携帯)や立ち話MTをすることで、
「気持ちのこもった納品チェック」をすることが効果的だと思うのです。

最後に一言。

ホウレンソウのメリットはなんでしょうか。

それは、①効率と業績の向上 と ②トラブルが起きにくくなる
(トラブルの発生可能性が減少し、かつ、その損失が小さいものになる)、
ということです。

私はホウレンソウがしっかりしている組織は、危機管理が充実していて
(つまり危機に強い)、それだけでなく、平時の業績が右肩上がりで
向上しているはずだと信じています。

それだけ効能のあるホウレンソウですから、その活用は大事なことです。

今回のメルマガでは、私の考えている「ホウレンソウ論」を書かせていただきました。

今回もお読みいただきありがとうございました。
次号もどうかよろしくお願いいたします。

 

吉田 良夫