[第11号] Brexit(イギリスのEU離脱)について

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吉田良夫メールマガジン [第11号]
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今月のメルマガ              2016年7月
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Brexit(イギリスのEU離脱)について

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皆様

このメルマガを書いているときは、気温も高くなく梅雨真っ盛りという状態です。
ですが配信時には気温がぐんと上がって真夏日になっているかもしれません。
とくに今年は高温になるという厳しい予想が出ていますから、
皆様も体調管理に気を配られるなどしてご自愛ください。

皆様は Brexit という言葉をご存じでしょうか。
イギリスがEUを離脱することという意味だそうで、最近できたばかりの言葉です。

このイギリスのEU離脱は、社会経済にとってショッキングな出来事に
なったようです。
ではなぜ社会や経済はショックを感じるのでしょうか?

第二次世界大戦後のヨーロッパ体制が崩壊に向かう、世界同時株安・
為替大波乱・世界同時不況の始まり、といった声が聞こえます。

でも、世界経済の素人の私には、ショッキングの真相が違うように思えました。

真相は、国民投票を実施したキャメロン首相も、(推測ですが)
投票したイギリス国民(の多く)も、他の諸国の政治経済に関わる
キーマンたちも、ほとんどが、EU離脱の結果にはならない、と
思い込んでいたからではないでしょうか。
もし離脱もありうるという予想をしていたら、株価と為替はあれほど
急落急変しなかったはずです。
つまり、離脱は予想外だったということです。

「予想」と違う結果が出たので慌ててしまい、冷静な思考ができなくなり、
頭と心が混乱して、「ショッキング」という感覚になったのだろうと思います。

でも結果が出た以上はひっくり返らないので、イギリス国民も
他の諸国もそれに従うしかありませんね。

ところで、イギリスはジェームズボンドを輩出したように世界トップクラスの
諜報機関(諜報組織)を持っているわけで、イギリスは大英帝国領域外の
ヨーロッパ領域でかなり諜報活動をしやすかったのではないでしょうか
(私の根拠のない推測ですが)。

そして、イギリス以外のヨーロッパ諸国もテロ対策情報とかリスク情報に
ついてイギリスと情報共有をしやすかったと思うのです。

今回のEU離脱で、イギリス連邦とEU諸国はいろいろなネットワークが
脆弱化するでしょうから、当然に両者の対テロネットワークも、
国民投票前よりは弱くなるかもしれません。

でも、離脱派を支えた中高年は違う論点で離脱を求めたという話も聞きます。
イギリスは税金が高い代わりに、医療や福祉についての支払額が非常に低額
だそうです。
しかし、大量の移民が「割り込む」ことで国民1人あたりの医療と福祉の
実質サービス力が低下した。今後もっと低下する。そうすると、
これから医療と介護を必要とする中高年にとっては、「自分たちの医療と
介護が不十分になる。それは移民のせいだ。離脱だ。」という危機感が
あったらしいのです。

また、チョコレートを例にすると、EUでは厳格なチョコレート基準が存在し
(どうもそれはゴディバがあるベルギーの基準らしいのですが、詳細を
確認しないで書いています)、イギリスで作るチョコレートは
EUチョコレート基準を満たさないものが結構あって、
イギリス国内のチョコレート産業に従事する人の間では「面白くない」
という不満があったという話も聞きました。
要はEU統一基準に対する不満も離脱票に流れた要因らしいということです。

そして今回の国民投票になったわけです。
国民投票では各人がどの論点を重視して投票するかはすべて投票権者の自由です。

自分の価値観に基づいて、または自分が大事だと思う利益のために
投票することができますし、その集積で結論が決まります。
それは国民投票のメリットであり特徴です。

他方で、投票する者が極めて多数になりますから、どうしても投票者は、
「国家百年の大計を立てる」とか、「国際政治、国際経済の観点からの
国家の維持発展」というグローバルな視点を欠く可能性があります。

EU離脱に投票したけれども、やっぱり離脱しない方がよかったかも、
と思い始めている人もいるかもしれません。

ですが、イギリス連邦は離脱に向けて舵を切りましたから、
我々はEU離脱に心を乱されずに、各人が各々の持ち場で
その責務と仕事を果たすことで、明るい力強い社会にしていくことが
大事だと思いました。

今回もお読みいただきありがとうございました。
今後、皆様が私に書いてほしいと思うことがあれば是非返信戴ければ幸いです。
今後とも努力いたしますので、次回もどうかよろしくお願いいたします。

 

吉田 良夫