[第34号] 猛暑のなかでの「カラスとの会話」

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今月のメルマガ         2018年8月
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◆猛暑のなかでの「カラスとの会話」
~みえないけれども大事なものを感じる気持ち~

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皆様

8月も下旬になりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
最近は7月が猛暑で、8月に入ると少し暑さが和らぐような感じですね。
台風も7月から出始めますし、気候が変化しはじめているのかもしれません。

ところで、最近私が経験した「カラスとの会話」のことをお話しさせてください。

数日前のことでありますが、自宅マンションの開放廊下を歩いていると、
カラスが手すりに止まっておりました。
ふだんはカラスには近寄りたくないと思うのですが、
エレベーターに行くにはカラスの前を通る方が便利なので、
心の中で「さて、どうするか」と思いました。

そうしたら、不思議なことに、カラスが
「暑くて大変なんですよ。もうしばらくここにいさせてください。
と私にお願いをしたような気持ちになってしまいました。

さらに、カラスは、手すりのうえを、ピョン・ピョンと数回、横に移動したのです。
それにより、私はその開放廊下を歩きやすくなり、
カラスの横をおそるおそる通り抜けることができました。

その後も、エレベーターに乗るまでカラスを見ていましたが、
カラスは「ほっとしたような様子」で手すりにとまっていました。

熱くて大変なのは人間もカラスも同じですね。
そして、生き物はみんな地球の中で生きているのですから、
「お互い様」の気持ちが大事なような気がしました。

私は弁護士ですから、どうしても対立の関係になる仕事が多く、
そのため日常のなかで「攻撃と防御」を考えることが多くなります

ですが、「攻撃と防御」はあくまで手段です。
それだけでなく「法律」そのものが手段です。
なにかを達成するための道具として「法律」があり、
その「法律」を活用するために「攻撃と防御」があります。

では、それらの手段は何を「目的」にしているのでしょうか。

私は、「幸せの実現」こそが「法律」の目的だと思っています。
幸せは客観的なものではなくて、主観的なものです。

たとえ誰もがうらやむ財産と地位を持っていても、
当の本人が「苦痛・心配・不安・恐怖」といった感情か
ら抜け出すことができないとしたら、それは「幸せ」ではありえません。

反対に本人がどのような状況であろうと、
「喜び・満足」といった気持ちであれば、
それは「幸せ」に包まれていることにほかなりません。

このように考えると、幸福も不幸も、感情とか気持ちで決まってしまう、
ということになりそうです。

そこで私は思うのです。

相手の感情とか気持ちを「感じる」ことが大事なのだと。
そして、相手の感情・気持ちを感じ、自分の感情・気持ちを
相手の心に伝えることが大事なのだと。

話を弁護士の仕事に戻します。

あくまで私の感覚ではありますが、
法律上の技術的な攻撃防御だけを意識して仕事をし続けますと、
目の前の「直接的問題」は多少解決することができますが、
問題の本質的な解決にならないことが多いような気がします。

どういうことかと申しますと、
問題が形を変えて「別問題」として現れて、いつまでたっても
「すっきりとした状態」にならないことがある、からです。

それよりも、言葉には出てこない「問題の本質」を意識し、感じ、
その「本質」を少しでも解決することができたら、どれだけ良いことでしょうか。

私は「本質の問題」を感じ、それを解決することがとても大事だと思っています。

そして、さきほどのカラスとの会話で、相互に気持ちを通じ合わせ
気持ちを感じあうことの大事さを再認識した次第です。

カラスさん、大事なことを思い出せてくれて、ありがとう。
お互いに夏バテしないようにしましょう。

ここまでお読みいただいた皆様に深く感謝します。

お読みいただきありがとうございました。

 

吉田 良夫