【第61号】日本人とファクターX

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今月のメルマガ              2021年2月号
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◆日本人とファクターX

~山中伸弥教授の論考を読んで~

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皆様

いかがお過ごしでしょうか。
1月28日には事務所のある神田須田町にも雪が降りましたのに、
2月4日には関東地方で観測史上一番早い春一番が吹きました。

それ以降も寒暖の差のある日々が続いております。
寒暖差がありますと身体にはストレス負荷となります。
みなさま、どうかご自愛されながら、お過ごしください。

ところで、緊急事態宣言は延長されましたが、
心配していた感染者数は明らかに減少しています。
大変な状況ですが、感染者数激減はありがたいことです。

ところで、山中伸弥教授(2012年ノーベル生理学・医学賞受賞)が
読売新聞2021年1月17日朝刊の「地球を読む」欄に、
新型コロナウイルスについて「日本人と『ファクターX』」
という非常に興味深い記事論文を寄稿されました。

引用が長くなりますがご紹介させてください。
まず、ファクターXについての説明です。

……
英オックスフォード大学は各国の対ウイルス政策を、
「対策なし」の0から、「最も厳しい対策」の100まで、
時間の経過とともに指標化している。

欧米各国は、60から90の間の厳しい政策を続けているが、
日本は30から60と比較的緩やかな政策にとどまっている。

欧米の専門家が対策の最重要項目と考える
人口当たりの検査数を見ると、昨秋以降は日本でも増えているが、
それでも欧米の10分の1から数分の1にすぎない。

一方、被害の大きさは全く別の様相を呈する。
20年末までの人口当たり死者総数を見ると、
日本は米国や英国の40分の1程度に抑えられているのである。

緩やかな政策や少ない検査数にもかかわらず、
なぜ死者数が少ないのか?

これは偶然や幸運では説明できない。
何らかの原因が存在するはずである。
私は、これを「ファクターX」と呼んでいる。
ファクターXは一つではなく、
複数の要因からなると思われる。
……

そして、山中教授は、
「日本のコロナ対策は重要な局面を迎えている。」
という認識を示したうえで、「ファクターX」の候補として、

「高いマスク着用率」、「コンプライアンス意識の高さ」
(論文では、『昨春の第1波の時、法的拘束力や罰則がないにもかかわらず、
多くの国民は自主的に外出等を控え、店舗は休業した。』とあります)、
「何らかの遺伝的背景」、「免疫学的特性」をお書きになっています。

免疫学的特性については、
「新型コロナウイルスが出現する以前から、
類似のコロナウイルスは通常の風邪の原因として存在していた。

これら他のウイルスに対する免疫反応が新型コロナウイルスにも防御的に働き、
感染や重症化を防いでいるという仮説があり、
これを支持する複数の論文が報告されている。」
とあります(私は読んでいて、とてもうれしくなりました。)。

続けて、
「だが、日本人が欧米人より免疫による防御力が強いという論文は今のところなく、
今後の研究が待たれる。
免疫防御は時間とともに弱まることが多く、ファクターXの一つであるとしても、
昨春に比べて減弱していく可能性がある。」
とも書かれています。

免疫学的特性を過剰に期待することの戒めでしょうか。

山中教授のこの論文は私を大変に勇気づけてくれました。

そのうえで、ファクターXのためには、
「マスクと感染予防のコンプライアンス意識」ということでしょうか。
他方で、マスク過敏症(肌ストレス被害)の方の大変さも耳にしますし、
自粛警察の弊害にも注意しなければなりません。

大事なことは、常に思いやりの気持ちを忘れずに、
各人ができることをできる範囲で行う、
ということのように思えてなりません。

なお、山中教授は「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」サイト
https://yoshida-law.us11.list-manage.com/track/click?u=9b78c20553f238da5c697d1d4&id=573aaf57ff&e=195a2b61c0
の中で、さきほどの記事論文のデータについて出典を示しています。
ご興味の方は是非ご覧になってください。

今月も長くなってしまい恐縮しているのですが、
今年も日本経済新聞の1月28日(木曜日)朝刊に、
「事業承継M&A弁護士50選」として
吉田総合法律事務所のご紹介記事を掲載いたしました。

また、吉田総合法律事務所は主力業務の一つである契約書業務について、
リーガルフォースを使用しています。

このシステムは使用上のメリットがあるのですが、
導入できている法律事務所は少数です。

当事務所は昨年から導入しており、
そのことについてインタビュー記事がありますので、
ご紹介させてください。
https://yoshida-law.us11.list-manage.com/track/click?u=9b78c20553f238da5c697d1d4&id=2cf452a3a3&e=195a2b61c0

最後に、
私のお休みのおしらせをさせてください。大変申し訳ございません。
2月16日(火曜日)から2月19日(金曜日)まで業務をお休みさせていただきます。
事務所はこの期間も通常通り稼働しておりますので、
どうかご用の件は、渡邊弁護士、星野弁護士にご連絡をお願いいたします。

これからも、皆様のお役に立てるよう、
より一層心を込めて努めさせていただきます。

私どもで何かお役に立てることがございましたら、
遠慮なくお申し付けください。
どうかよろしくお願い申し上げます。

吉田良夫