【第57号】2020年11月3日アメリカ大統領選挙で思うこと

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 今月のメルマガ              2020年10月号
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◆2020年11月3日アメリカ大統領選挙で思うこと
  ~ 日本の9割経済への影響 ~

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皆様、いかがおすごしでしょうか。
今日は10月28日で、もうすぐ11月ですね。
秋本番です。
今年の11月はどうしてもアメリカ大統領選挙が気になります。

アメリカ大統領は全世界に大きな影響を与えます。
トランプ氏の発言は従来の大統領のそれとは大きく異なり、
暴言を発することに躊躇をしません。
事実に基づかない発言の多いことも指摘されています。
トランプ氏はメディアに対し度々(または頻繁に)、
「それはフェイク(偽)ニュースだ!」と言います。

慣例として行われていた、自分自身の納税情報の開示も拒んでいます。
確かに、法的な開示義務はないのですから違法ではありませんが、
トランプ氏は「ビジネス成功者」だという前提で2016年投票が行われました。
今回の2020年投票もその前提です。
もし、アメリカ有力メディアのスクープ報道が正しいとすれば、
その前提が違ってきます。

また、9月には、アメリカの科学雑誌サイエンティフィック・アメリカン
(Scientific American)が反トランプ氏の意味でバイデン氏支持を表明しました。
同誌が米大統領選で特定の候補を支持するのは、その175年の歴史で初めて、とのことです。
また、世界的に著名なイギリス科学誌ネイチャー(Nature)も今月(2020年10月)
になって同様にバイデン氏支持を表明しました。
これは異例中の異例というべきでしょう。

日本のメディアでは、2016年選挙でトランプ氏に期待して投票し、
今回2020年選挙ではトランプ氏の現状に失望し反対票や棄権を
決めた投票者の記事も掲載されています。

しかし、トランプ氏の岩盤支持層は健在で、いかなる時でも、何があっても、
支持率は40㌫台を維持しているようです。

日本ではこれほどの岩盤支持層を得ている政治家はいません。
そのため、「強固な支持を得ている理由は何だろう?」という疑問が生じます。

メディアでは、トランプ氏の岩盤支持層は大学教育を受けていない、
高収入ではない白人層とあります。
岩盤支持層は以下のような気持ちでしょうか。

……
これまでのホワイトハウスの政策では、自分たちは経済生活などで
効果的な恩恵を受けることができなかった。
自分の環境が改善する見込みを感じることができない。
将来は絶望的だ。
それなのに、既存の大統領は誰も自分たちの強い不満を重要課題と思ってこなかった。

トランプ氏だけが我々の強い不満を理解している。

だから、現状がたとえ満足できるものでなくても、
トランプ氏以外の者を大統領にするわけにはいかない。
大統領はトランプ氏だけだ。
……

前回2016年選挙はトランプ氏当選を予想していた方は少数で、「大逆転」と言われました。

今回も、現時点では、ニュースで見る支持率ではトランプ氏が劣勢です。
しかし、結果は終わるまでわかりません。
また、今回は投票が終わっても、郵便投票無効訴訟がありそうですから、
「投票が終わってからも結果はわからない」ということになりそうです。

今回のメルマガでアメリカ大統領選挙をテーマにしたのは、
それが、日本の経済に直接的で強い影響を及ぼすからです。

現状の日本経済は、「9割経済」と言われています。
これは経済活動が縮小している「シュリンク経済」の意味です。
また、コロナウイルスの影響で、非接触型活動が定着しました。
ニューノーマル様式です。

ニューノーマル様式に完全に対応できているところ、
ニューノーマル様式の促進支援をしているところでは、
マイナス要因は少ないといえます。
むしろ活動量が増え増収増益のところもあります。
しかし、それは少数です。

個人も会社も社会の中の一員ですから、社会全体が縮小の方向で変化すれば、
どうしても、個人や会社の収益は縮小します。

例えば、押印廃止についても、そのこと自体は合理的でやむを得ないというべきです。
しかし、物事には必ず両面があり、反対側には必ず困る人がいます。
印鑑の製造販売業(判子業)の方はどうなるのでしょうか。

これは自力だけでは解決できない問題です。
なぜなら「市場がなくなるから」です。
頑張りようがない……
これについては、政治的・社会的な支援が必要ではないでしょうか。
そして、これは判子業だけではないかもしれません。

9割経済というのは、繁盛するところがでる代わりに、9割どころか、8割7割
それ以下の非常に厳しいところがたくさんいるという意味です。
全体としての9割経済は非常に厳しい経済社会と言わざるを得ません。

そして、ここにアメリカ大統領選挙の実影響が重なってきます。
アメリカ社会の「分断と断裂」という不協和音が、そのままではないにしても、
日本社会に伝播し共鳴するかもしれません。

また、経済復興についても、9割経済が8割経済やそれ以下になるのか、
9割固定化状態になるのか、早期に10割復帰できるのかは非常に大事なことです。

11月3日の大統領選挙とその後の郵便投票無効訴訟を、
強い関心をもって見ていきたいと思っています。

皆様はどのように思われるでしょうか。

吉田良夫