【第51号】 私の「新型コロナウイルス(新型肺炎)問題」の対応法 その2

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 今月のメルマガ              2020年3月号
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◆私の「新型コロナウイルス(新型肺炎)問題」の対応法その2

 ~先人の知恵 良寛和尚の危機管理~

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みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
2月メルマガのときから約1か月で世界の様子は変わりました。
ヨーロッパの状況には誰しも驚き、悲惨な状況に胸を痛めていることと思います。
クラスター(集団感染)という言葉も、いまでは聞き慣れました。
そして、数日前には、オーバーシュートという新たな言葉まで覚えてしまいました。

読売新聞3月20日朝刊1面では、
「専門家会議は19日、都市部で感染者が増えており、今後は爆発的な
感染拡大の可能性があるとの分析結果を公表した。」
という記事を掲載しました。

東京など各地で「オーバーシュート」の危険性がある、という意味ですね。

2月メルマガでタクシー運転手さんの話として、
飲食店の方々が困っているという話をご紹介しました。

2月メルマガの後、事務所近くで居酒屋さんのランチを食べていたら、
お店に電話がかかってきて、お店の方がいつもの明るい声で
電話口に出たのですが、10数人の宴会キャンセルの電話でした。
お店の方が残念そうな声で「また、お願いします」と言っていました。

その後、人の集まり、物の流通が少なくなりました。
マスクが入手困難になっただけでなく、トイレットペーパー、
ティッシュペーパーまで入手しにくくなりました。

しかし、日本は「もちこたえている」(専門家会議)ので
市民生活ができています。
私もお客様との会議ができていますし、私も所員も無事です。

幸せは心で感じるもの、思うものです。
他の人から「あなたは幸せだ、あなたは不幸だ」と
押しつけられるものではありません。
私は先日3連休に「桜」を見るために歩きましたが、
良い天気で桜が気持ちよさそうに咲いていました。

日本は外出制限もありません。
桜を見ることもできます。
本当にありがたいことで、私の心は幸福感でいっぱいになりました。

コロナウイルスが全世界で猛威を振るっていることは確かです。
ですから、行うべきことは、これまで以上に入念に行い続ける。

・手洗い、アルコール消毒
 (来客用のアルコール消毒液があるところでは、よく利用させてもらっています)
・しっかりと食事をとる
・睡眠をとる(睡眠不足にならない)
・適度に運動する
・咳エチケットはきちんと行う(他の方に咳やくしゃみをかけないように気を配る)
・コロナ対応の指示(自粛要請も含まれますね)が出たらそれをみんなで守る
等々

そして、3月19日の専門家会議が、クラスターを出さないため、
オーバーシュートを引き起こさないため、全国民に求めたことを
強く意識すべきだと思っています。

「換気の悪い密閉空間、人の密集、近距離での会話や発生の3つの条件が
同時に重なった場を避ける」(さきほどの読売新聞1面)

「密閉+密集+近距離会話 注意」(同3面)

我々が行うべきことは、私を含め多くの人が、できる範囲で
提言されたことを実行するということではないでしょうか。

もう一つ、私が思い出したことがあります。

メルマガ第15号(2016年11月号)でご紹介した良寛和尚の「危機管理」の考え方です。

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江戸後期の曹洞宗の禅僧で、すぐれた歌や詞を残した良寛の言葉に、
災難から逃れる妙案として興味ある言葉がある。
現代の「危機管理」の基本な考え方を暗示しているので紹介する。

災難に遇ふ時節には、災難に逢ふがよく候。
死ぬる時節には、しぬるがよく候。
これ災難を、のがるる妙法にて候。

(良寛和尚)
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出典は、(「中村天風と『六然訓』」 合田周平著 PHP新書 2012年2月29日第1版)の151頁です。

前回のメルマガでは、私の解釈として次のことを書きました。

……
本来はかすり傷とか全治1ヶ月とかの怪我を、自分でジタバタして
致命傷にしないことだ。
本当に死んでしまう事態はめったにあるものではない。
そして本当に死んでしまうときには、それは寿命だから、うけいれるしかない。

慌てないで落ち着いて事に当たれば、怪我はしてもなんとかなることが多いはずだ。
虚心平気、虚心坦懐の気持ちをわすれてはいけない。

私がこの心境まで成長しているというわけではありません。
ただ、お先真っ暗、嫌なことばかりおきるだろうな、という気持ちになるよりは、
良寛和尚の言葉を思い出した方がなにか良いことが起こりそうな気持ちになります。
……

私はとても良いことを思い出した気持ちです。
皆様はどのようにお感じになられたでしょうか。

今月のメルマガも長々としたものになってしまいました。

ここまでお読みいただいた皆様に深く感謝します。
これからも皆様とのご縁を大切にし、読んでいただけるメルマガに
していきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

お読みいただきありがとうございました。

【第43号】AI時代の勇気と挑戦~必勝方程式は存在しない~

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 今月のメルマガ              2019年6月
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 ◆AI時代の勇気と挑戦
   ~必勝方程式は存在しない~

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皆様 

ご無沙汰してしまいました。
令和第2号のメルマガとなります。
猛暑前の蒸し暑さの時期でもあります。
そして、風邪(特に咳の出る風邪)が流行っているようです。
ご自愛されながら、これからの季節を楽しまれてください。

ところで、令和の時代はAI(人工知能)とテクノロジーの
時代になりそうです。
先日も10年前の映画を見ましたら、映画の小道具で
VHSビデオテープが出てきました。
当時は録画といえばVHSかベータでした。
しかし、今ではビデオテープは見なくなりました。
写真もスマホだけ、という方が非常に多くなりました。

おそらく、今、私たちが日常生活で使っている道具も、
数年単位(私の感覚では約3年単位)でなくなってしまい、
10年くらいたつと、道具も生活様式も様変わりしていることでしょう。

また、人生の種々な選択場面で、昭和世代の安全確実のパターンが、
平成世代で役に立たなくなったという現象が起きたように思います。

「公務員・大手銀行・大企業に就職したから一生安定だ、
医師になったから・弁護士になったから生活に困ることはない」
というのは幻想でした。
きっと、令和時代では加速的に平成世代の発想やノウハウが
機能不全(役に立たない)となることでしょう。

そして、AIは仕事と私生活の両面で急速に浸透し、
その利用者は夢のような利便性を享受できることでしょう。

その反面で、巷で心配されているように、AIが
人間(私たち)に代わり、相当多くの業務を担当することは
間違いないと思います。

そうすると、AI時代では、AIとともに(=AIを使用して)
高付加価値業務ができる者は「AI時代の勝ち組」と呼ばれ、
それ以外の者は「負け組」という感覚になるかもしれません。
これでは、社会が調和しにくくなりますし、なにより安心安全が
損なわれます。

しかし、我々は人間であり感情と共に生きていきます。

我々ホモ・サピエンスが多数の人類(サピエンス)の中で
たった一つの生き残り人種になって、高度な文明社会を生み出し、
(種族としての)爆発的な人口増加と種の繁栄を果たすことができたのは、

自分以外の他人を「思い」やる感覚
他の(多数または特定の)人と「共感」する感覚
「思い」「共感」することで「幸せ」を感じる能力

があるからだと思います。
ですから、AI時代になっても、さきほどの懸念事項は、
「なんとかなる」「そんなにおかしなことにはならない」と
思っています。

心配は不幸を呼び寄せ、楽観は幸福を招き寄せると思います。

そのうえでのことですが、令和では抽象的な必勝方程式はないと思います。

令和では平成より社会的ニーズ(これをしてくれたら、いいのになぁ~
という要望)が細分化して、多種多様なものになるはずです。
その社会的ニーズの「どれか一つ」をある程度満足させる活動
(商品提供、労力提供)ができれば、それで「社会的仕事」を
果たすことになるはずです。
その「どれか一つ」は様々のはずです。

AIを徹底的に活用するタイプもあれば、AIをほとんど活用しない
「AI時代のスキマ部分」を手作業で行うタイプもあるかもしれません。

社会的ニーズを感じる「素直な直感」、固定概念に拘束されない
「自由な感覚」を自分の中で育み、その感覚を信用する勇気が
人生を豊かな方向に導くのではないでしょうか。

そして社会的ニーズを感じたら、
勇気を出して、自分の境遇、環境、能力の中で、
できそうなことを「実行」してみる。

うまくいきそうであれば、体力・資金などの自己資源を
「再投資」して「深掘り」する。
うまくいかなかったときは、「損切り」して、さっさと
「店じまい」・「方針転換」する。

そのようなミニサイズの成功と失敗(成功に至る前段階)を
繰り返しているうちに、いつのまにか「大きな幸福と繁栄」の
状態に包まれている、ということになるのではないか、

と私は思っています。

今月は、24日(月曜日)まで全く原稿に手をつけることができず、
心配したのですが、とにかく書き始めてみよう、
とパソコンに向かって打ち始めたら、このような内容になりました。
皆様のご意見、ご叱責もあるかもしれません。
皆様のご感想をいただけますと幸いです。

吉田良夫

【第42号】令和はBeautiful Harmony ~Reiwaは美しい調和~

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 今月のメルマガ              2019年5月
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 ◆令和はBeautiful Harmony
 ~ Reiwa は美しい調和 ~

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皆様 

ご無沙汰してしまいました。
前回(41号)が4月2日でしたのに、あっという間に5月も終わりです。
そして昨日も30度以上の猛暑でした。
この2ヶ月の間に、「平成」が「令和」になって
新時代の幕開けとなりました。

令和の英語表記は「Reiwa」ですが、その意味について、
「令」を「命令(order)」と報道する海外メディアもあり、
外務省は「令和」の意味を英語で表す際に「Beautiful Harmony」
であると各国在外公館に説明することにしたそうです
(日本経済新聞電子版4月3日号参照)。

Reiwa is order. ではありません。
Reiwa is Beautiful Harmony. です。
誤解しないで下さい、ということだと思います。

ところで、「令和」の英語表記について、ウィキペディアには、

「中国思想史が専門の小島毅(東京大学教授)によれば、
「当時の言葉遣いから大伴旅人は呉音で読むことを想定したのではないかとし、
『令』の発音は漢音の『れい』ではなく呉音の『りょう』、
ローマ字表記もより実際の発音に近い『Leiwa』が適しているのではないか」
という意見を表明している。」

という記載までありました。

私は「Re」と「Le」を発音で区別できませんが、
新元号は「令和」であり、
英語表記は「Reiwa」、
その意味は「Beautiful Harmony」で決定です。

「令和」も「Beautiful Harmony」もいい響きです。

「Harmony(調和)」
ができると、なんとなく「幸せ」を感じやすくなります
(幸せとは感じるもの)。
そして、すこしでも「幸せを感じる」ことができれば、
その状態はまさに「Beautiful(美しい)」ではありませんか!

そうすると大事なことは
どのようにして Harmony に至るか、
どのようにして Harmony を実現するか、
ということだと思います。

ところで、私の事務所でも、新時代ということで、大画面での
スカイプ会議ができるようにしました。
これまでのお客様であれば、(ご来所会議の方が会議としては良いに
決まっていますが、)移動時間を捻出しにくい場合には、
音声と映像で会議が可能になります。
必要に応じ、スカイプ会議のお申し出もされてください。

今月は、もしかしたらメルマガが書けないのでは?という
心配が頭をよぎりましたが、新元号の「令和」について
私なりに感じたことを書かせていただきました。

ここまでお読みいただいた皆様に深く感謝します。

吉田良夫

[第37号]カルロス・ゴーン氏の逮捕で思ったこと~幸せってなんだろう~

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今月のメルマガ               2018年11月
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◆カルロス・ゴーン氏の逮捕で思ったこと
~ 幸せってなんだろう ~

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皆様

11月も下旬になりますと、あと1ヶ月ちょっとで来年ですね。
子供は1年を長く感じるけれども、大人は年を重ねるごとに
1年を早く感じるようになる、と聞いたことがありますが、
私にとってはまさにその通りです。

ところで、最近、びっくりしたニュースがありました。
皆様ご存じの、あの「カルロス・ゴーン」氏の逮捕です。

「まさか…こんなことが…」

という状態ですね。

今回のゴーンさんの逮捕容疑は、(今のところ)有価証券報告書に
報酬額の虚偽記載をしたという罪です。

有価証券報告書虚偽記載罪というのは、
たとえば、実情は大赤字で倒産寸前なのに、投資家が読む有価証券報告書に、
「うちは儲かってまっせ。期末の儲けはこんなに儲かる見込みでっせ」
という嘘記載をされると、投資家はだまされて投資をする
(株を購入する)かもしれません。

そして会社が倒産になれば、嘘記載を信じて株を買った人は損をします。
また、そういうことがまかり通ると誰も株を買うという投資を
しなくなります。

そこで、そのような投資家の投資判断を間違えさせないために、
有価証券報告書には嘘を書くな、という規制をしています。

つまり、有価証券報告書虚偽記載罪が予想しているのは粉飾決算の事例です。
ところが、今回は経営トップが受領した報酬額を過少記載した
という事例です。

ゴーンさんの行動は倫理的にはめちゃくちゃで、
開いた口がふさがらない(ただただ、唖然…)という状態ですが、
それでも投資家が自分の儲けのためにどこの会社に投資するか
という判断の局面では、赤字なのに儲かっているという虚偽記載を
する典型的事例とは違います。

それに私は、私がとっている新聞その他の報道から、
ゴーンさんとケリーさんの罪は、特別背任罪という会社役員の罪
の方がどんぴしゃりじゃないか…
という感覚をもっていました。
(もしかしたら、今後、特別背任罪に進むかもしれませんし、
そうではなく、特別背任罪にすると他のところで「問題」が
生じるという判断で特別背任罪を使わないで「けじめ」を
つける方針なのかもしれません。
これは時間が経過するとすべて分かりますね。)

また、報酬ごまかしの事例では納税関係で問題が生じることが
あり得るので、もし税務申告に「ごまかし」(故意)があると、
脱税ということになりかねず、脱税額が一定額を超えると
それだけで実刑になってしまいます。
そこのところ(納税)はどうなんだろう、と思っていました。

そんななかで、インターネットニュースを検索したわけですが、
インターネットではいろいろな情報が掲載されていました。

ゴーンさんもケリーさんも、逮捕・勾留の段階ですし、
判決で有罪が確定するまでは無罪という前提で扱われるべきです。

それに両名とも「否認(認めない)」という立場のようです
(もしかしたら事実関係から「まったく違う」と言って
いるのかもしれませんね)。

ただ、この両名を逮捕すると言うことは、
日本とフランスの国益問題に特捜が割り込むわけですから、
検察は確実な証拠を収集済みで、上層部を含めかなり慎重な
判断をしたものと推察します。

そこで、現時点で報道されている内容を前提にして
本件を少しだけ見てみようと思いました(推定無罪の
刑事原則と真逆の扱いをしてしまいそうで怖いのですが……)。

ゴーンさんがケリーさんに指示をして、ケリーさんが部下の
外国人執行役員1名と日本人幹部社員1名にメールで
不正行為の指示をしたらしいです
(もし本当ならメールで不正行為指示をするなんて信じられません
不正をする人は不正指示を口頭で行うことが多いのですが…。)。

そのメール指示をうけた外国人執行役員と日本人幹部社員の
2名(不正行為の実行者)が、東京地検特捜部と司法取引を
したそうです。

そして、ケリーさんが不正行為を指示したことの物証として、
メール等を東京地検特捜部に提供し、東京地検特捜部が
ゴーンさんが逃げられないタイミング(飛行機で日本に来るところ
を空港で逮捕令状をもってお出迎え)で逮捕となったようです。

司法取引者は上記2名だけで会社(日産)は司法取引対象者では
ない、とのことです。

インターネットニュースのおかげで、ちょっぴり雰囲気が
分かったような気がしました。

裁判による真実解明はまだまだ先のことと思いますが、
逮捕ニュースが衝撃的だったので、すこしでも逮捕側の
初動の事情が分かって、よかったです。

もうひとつ、私がどうしても「理解できない」ことがあります。
それは腹心のケリーさんの行動です(あくまで逮捕側の認識を
前提にしたもので、ケリーさんは否定しているかもしれませんが)

ケリーさんは弁護士出身らしいです。
弁護士出身なら、たとえ日本の法律に精通していなくても、
法律の中身(法規制)はどの国もかなり共通していますから、
ゴーンさんと自分(ケリーさん)がやっていることが、
どれだけの重罪か、どういう結末になるか、ということを
十分に分かっていたはずです。

それに、不正指示をメールで行ったとのことですが、
弁護士出身のケリーさんが自分で自分の首に縄をつける物証を
つくるとは。

……(もし事実なら)正気の沙汰とは思えません……

ゴーンさんもケリーさんも、まさか、「絶対にばれない」と
でも思い込んでいたのでしょうか。

ちなみに、単独犯で事情は自分しか知らない、というときは、
「ばれない」ということはありえるかもしれません。
単独犯と思われる殺人事件で迷宮入り事件があるのは、そのためです。

しかし、犯行者が複数の場合や犯人以外で事情を知っている者が
いる場合は、「ばれる」可能性は非常に高くなります。

それなのに……。

私は、ここで、敬愛する中村天風先生の人生観を思い出しました。

天風先生は、

「正直、親切、愉快に」

と断言しています。

その方が幸せになるからです。
そして、「幸せとは心が平安な状態なこと」と定義しています。

お金や地位がどれだけあっても、「心が平安でない」なら、
それは幸せではありません。

ゴーンさんは、いままでの暮らしと全く違う「東京拘置所」に
いるらしいです。

東京拘置所といえば田中角栄氏の言葉を思い出します。
自宅の中に文献があるはずですが、次のような言葉だったという
記憶です。

「俺はだれよりも小菅(東京拘置所のことです)のことを知っている。
あそこでは花なんか無駄だ。食い物を持って行け。」

東京拘置所は超高級ホテルとか超高級住宅とは全く違う
居住環境ですから大変だと思います。

これからのことを考えて不安と恐怖でいっぱいで、
「心は平安」どころではないと思います。
本当に大変な状態だと思います。

今回の事件で思いました。

私は Much Money でなくても Some Money があって
(No Money は困りますが……)、
「心は平安」であれば、
そちらの方がずっといいです。

今回のゴーンさんとケリーさんの逮捕は、
あまりにびっくりしたニュースでしたので、自分の気持ちの
整理をかねて、私が感じたことをまとめさせていただきました。

今回はかなりの長文になってしまいましたので、
最後までお読みいただいた方には本当に感謝申し上げます。
(次回は短いものにしますので、次回もよろしくお願いいたします。)

 

吉田 良夫

[第15号] 世の中何があるかわからない~トランプ大統領誕生~

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吉田良夫メールマガジン [第15号]
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今月のメルマガ              2016年11月
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世の中何があるかわからない
~トランプ大統領誕生~

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皆様

先月メルマガ14号で、残暑があっという間に秋模様と書きましたが、
今年は秋が短くすぐに晩秋・初冬の装いになってしまいました。
東京の公園でも木々にほんのりと紅葉が見え始め、日が暮れると
クリスマスのイルミネーションの飾りが綺麗に輝いております。
毎日なにかと忙しいと感じることの多い日々ではありますが、
自然が醸し出す「変化」は我々の日常の疲れを癒し、そして力を
与えてくれるすばらしいものだと感じます。
ありがたいことです。

ところで、自然の変化とは異なる人間社会の変化は妙薬になるときもあれば
毒薬になるときもあるかもしれませんね。

アメリカではトランプ氏が下馬評を覆して次期大統領となりました。
このメルマガでは、トランプ勝因とか、日米関係への悪影響とかの
コメントはいたしません。
私はこの問題について研究してきたわけではありませんから。

ただ、私が選挙後にネイティヴの方から英語で聞いたことなのですが、
前回大統領選挙の時とは異なり、今回の選挙では、投票資格のために
顔写真付身分証明書として運転免許証が必要だった、とのことです。
つまり運転免許証をもっていない貧困層は米国民であっても
投票できなかったというわけです。
ちなみにパスポートは非常な低額で取得できるはずで、顔写真付ですから、
そのことも聞いたのですが、パスポートでは投票できなかったとのお話を
伺いました。
ちなみに、ヒスパニック系低所得者層や黒人系低所得者層の中には
実際に運転免許証を持っていない方もいるそうです。

私個人の感覚ですが、投票者制限のようなものを感じてしまい、
アレアレと思った次第です。

ただ私の英語力はお恥ずかしい限りでして、正確に聞き取りができたかは
自信がなく、日本語による選挙解説にも上記のことは書かれていないようです。

もしメルマガ読者の方で実際のことをご存知の方がいらしたら、
事実を教えていただけますと幸いです。

またトランプ大統領の政策による悪影響についても、いろいろ有識者の方々が
見解を述べられています。
少なくとも、第二次世界大戦の戦勝国のなかで最大功績をあげたアメリカによる
パックスアメリカーナが戦後約70年を経てようやく終了し、本当の意味で
第二次世界大戦後の世界システムが「再構築」される時代に入るのかもしれませんね。

そして、あらたな世界システムの再構築が完成するまでは、
「試行錯誤と混乱の時代」になってしまうのはやむを得ないことかもしれません。

でも実際に不幸になってはいけません。
不幸になりそうでも不幸にしてはいけないと思うのです。

そのような観点から、参考になる言葉を思い出しましたのでご紹介します。
文献は、合田周平氏がかかれた 「中村天風と『六然訓』」
(PHP新書 2012年2月29日第一版第一刷)の151頁です。

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江戸後期の曹洞宗の禅僧で、すぐれた歌や詞を残した良寛の言葉に、
災難から逃れる妙案として興味ある言葉がある。
現代の「危機管理」の基本な考え方を暗示しているので紹介する。

災難に遇ふ時節には、災難に逢ふがよく候。
死ぬる時節には、しぬるがよく候。
これ災難を、のがるる妙法にて候。

(良寛和尚)
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この部分の私なりの解釈は、以下の通りです。

本来はかすり傷とか全治1ヶ月とかの怪我を、自分でジタバタして
致命傷にしないことだ。
本当に死んでしまう事態はめったにあるものではない。
そして本当に死んでしまうときには、それは寿命だから、うけいれるしかない。

慌てないで落ち着いて事に当たれば、怪我はしてもなんとかなることが多いはずだ。
虚心平気、虚心坦懐の気持ちをわすれてはいけない。

私がこの心境まで成長しているというわけではありません。
ただ、お先真っ暗、嫌なことばかりおきるだろうな、という気持ちになるよりは、
良寛和尚の言葉を思い出した方がなにか良いことが起こりそうな気持ちになります。

そんなわけで皆様にご紹介させていただきました。

今回もお読みいただきありがとうございました。
今後、皆様が私に書いてほしいと思うことがあれば是非返信戴ければ幸いです。
今後とも努力いたしますので、次回もどうかよろしくお願いいたします。

 

吉田 良夫

[第11号] Brexit(イギリスのEU離脱)について

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吉田良夫メールマガジン [第11号]
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今月のメルマガ              2016年7月
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Brexit(イギリスのEU離脱)について

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皆様

このメルマガを書いているときは、気温も高くなく梅雨真っ盛りという状態です。
ですが配信時には気温がぐんと上がって真夏日になっているかもしれません。
とくに今年は高温になるという厳しい予想が出ていますから、
皆様も体調管理に気を配られるなどしてご自愛ください。

皆様は Brexit という言葉をご存じでしょうか。
イギリスがEUを離脱することという意味だそうで、最近できたばかりの言葉です。

このイギリスのEU離脱は、社会経済にとってショッキングな出来事に
なったようです。
ではなぜ社会や経済はショックを感じるのでしょうか?

第二次世界大戦後のヨーロッパ体制が崩壊に向かう、世界同時株安・
為替大波乱・世界同時不況の始まり、といった声が聞こえます。

でも、世界経済の素人の私には、ショッキングの真相が違うように思えました。

真相は、国民投票を実施したキャメロン首相も、(推測ですが)
投票したイギリス国民(の多く)も、他の諸国の政治経済に関わる
キーマンたちも、ほとんどが、EU離脱の結果にはならない、と
思い込んでいたからではないでしょうか。
もし離脱もありうるという予想をしていたら、株価と為替はあれほど
急落急変しなかったはずです。
つまり、離脱は予想外だったということです。

「予想」と違う結果が出たので慌ててしまい、冷静な思考ができなくなり、
頭と心が混乱して、「ショッキング」という感覚になったのだろうと思います。

でも結果が出た以上はひっくり返らないので、イギリス国民も
他の諸国もそれに従うしかありませんね。

ところで、イギリスはジェームズボンドを輩出したように世界トップクラスの
諜報機関(諜報組織)を持っているわけで、イギリスは大英帝国領域外の
ヨーロッパ領域でかなり諜報活動をしやすかったのではないでしょうか
(私の根拠のない推測ですが)。

そして、イギリス以外のヨーロッパ諸国もテロ対策情報とかリスク情報に
ついてイギリスと情報共有をしやすかったと思うのです。

今回のEU離脱で、イギリス連邦とEU諸国はいろいろなネットワークが
脆弱化するでしょうから、当然に両者の対テロネットワークも、
国民投票前よりは弱くなるかもしれません。

でも、離脱派を支えた中高年は違う論点で離脱を求めたという話も聞きます。
イギリスは税金が高い代わりに、医療や福祉についての支払額が非常に低額
だそうです。
しかし、大量の移民が「割り込む」ことで国民1人あたりの医療と福祉の
実質サービス力が低下した。今後もっと低下する。そうすると、
これから医療と介護を必要とする中高年にとっては、「自分たちの医療と
介護が不十分になる。それは移民のせいだ。離脱だ。」という危機感が
あったらしいのです。

また、チョコレートを例にすると、EUでは厳格なチョコレート基準が存在し
(どうもそれはゴディバがあるベルギーの基準らしいのですが、詳細を
確認しないで書いています)、イギリスで作るチョコレートは
EUチョコレート基準を満たさないものが結構あって、
イギリス国内のチョコレート産業に従事する人の間では「面白くない」
という不満があったという話も聞きました。
要はEU統一基準に対する不満も離脱票に流れた要因らしいということです。

そして今回の国民投票になったわけです。
国民投票では各人がどの論点を重視して投票するかはすべて投票権者の自由です。

自分の価値観に基づいて、または自分が大事だと思う利益のために
投票することができますし、その集積で結論が決まります。
それは国民投票のメリットであり特徴です。

他方で、投票する者が極めて多数になりますから、どうしても投票者は、
「国家百年の大計を立てる」とか、「国際政治、国際経済の観点からの
国家の維持発展」というグローバルな視点を欠く可能性があります。

EU離脱に投票したけれども、やっぱり離脱しない方がよかったかも、
と思い始めている人もいるかもしれません。

ですが、イギリス連邦は離脱に向けて舵を切りましたから、
我々はEU離脱に心を乱されずに、各人が各々の持ち場で
その責務と仕事を果たすことで、明るい力強い社会にしていくことが
大事だと思いました。

今回もお読みいただきありがとうございました。
今後、皆様が私に書いてほしいと思うことがあれば是非返信戴ければ幸いです。
今後とも努力いたしますので、次回もどうかよろしくお願いいたします。

 

吉田 良夫