近時、飲酒検査に関する道路交通法の改正についてご質問をいただく機会があり、道路交通法及び同施行規則を確認しました。事業を行う方々に広く関係する法改正ですので、ご紹介します。
A1 これまでは、営業用自動車(いわゆる緑ナンバー車)を使用する事業者についてのみ、アルコールチェックが義務付けられていました。しかし、道路交通法施行規則が改正されて、自家用自動車(いわゆる白ナンバー車)を使用する事業者もアルコールチェックなどを行わなければならなくなりました。 まず2022年4月1日からは、事業者が選任した安全運転管理者は、運転の前後に、運転者の状態を目視等で、酒気帯びの有無を確認しなければなりません。 また、確認した内容を記録して、1年間保存することも必要です。 次に2022年10月1日からは、事業者が選任した安全運転管理者は、運転の前後に、運転者の状態を目視等で確認するとともに、アルコール検知器で酒気帯びの有無を確認しなければなりません。 そして、確認した内容を記録して、1年間保存するとともに、アルコール検知器を常時使える状態にしなければなりません。
※警察庁は、検知器の供給が追い付かないことから、2022年10月1日に予定していた検知器でのアルコールチェックの義務化を延期する方針としました。現在は、この内容での内閣府令案についてパブリックコメントを実施している状況です(2022年8月5日時点)。
安全運転管理者の業務の拡充|警察庁Webサイト (npa.go.jp)
A2 白ナンバー車を使用しているすべての事業者が、アルコール検知器等で運転者の酒気帯びの有無を確認しなければならないわけではありません。 法律は、安全運転管理者を選任してアルコールチェックなどをしなければならない事業者について、乗車定員が11人以上の自動車を1台またはその他の自動車を5台以上している事業者に限定しています。 また、この台数は、事業者の本拠(事業所)ごとに計算するとされています。 そのため、この台数未満の自動車しか使用していない事業所では、法律上は、安全運転管理者を選任する必要はなく、アルコールチェックをする必要もありません。
A3 上記の通り、アルコールチェックなどが義務付けられる事業者は、2022年10月1日以降、アルコール検知器を常時保管して、運転の前後に運転者のアルコールチェックをしなければなりません。 この法改正を契機として、アルコール検知器が不足し始めているとの報道がなされています。 現時点で、アルコール検知器の常時保管や運転者のアルコールチェックを怠ったことに対する罰則はありません。 しかし、法律に違反することであるには違いなく、その結果飲酒運転等が行われてしまえば、事業者もそれによる刑事責任や民事責任を負うだけでなく、社会的な非難を受けることになります。 そのため、業務に必要なだけのアルコール検知器を確保して、保管することが重要です。
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